2013年8月16日金曜日

働くということ

 姪っ子が、職場を訪ねてきた。夏休みの宿題で、身近な人から仕事に関するインタビューをするというもの。
 「この職業を選んだ理由は?」「一日の時間の流れは?」「この職業をするにあたって必要な資格は」「仕事をして喜びを感じる時は?」「辛いと思うのはどんな時?」等など、次々と質問をされる。
 伯父さん、いいかっこうしなければ、高校生に夢を与えなければ…などと思いつつ、一言ひとこと言葉を選びながら、答えていった。久々に、シンプルに自分を振り返る、いい機会にもなった。
 そして、最後の質問…。ドキッとした。「あなたにとって"働く"ってどういうことですか」
 それまで、流ちょうに答えていたつもりなのだけれど、一瞬言葉に詰まってしまった。

 働くってどういうことだろう。

 とりあえず「働くって、自分は社会の中で生きているのだ、一人きりでは生きられないのだ、ということを確認する作業かな」と答えた。
 「たとえば、作家の人が一人で原稿を書き終えたとしても、それだけでは働いたことにならない、それを出版社の担当者に渡して、印刷屋さんが印刷して、また点検して、活字になって製本されて、それを本屋さんが読者へつないでくれる。そういった仕組みの中で行動するということが働くということなんじゃないかな」
「農業で言えば、自給自足で自分が食べる分だけの作物を作っていたら、それは労働とは言えないよね、その作物を食べてくれる人に渡して、その対価を得て初めて働いたということになると思うんだよね」などと答えた。

 姪っ子は僕の一言一言に対して、しっかりうなづきながらメモを取っていた。

 答えながら、働くってそういうことか、と自問自答していた。お前はいつもそんなことを意識して仕事をしているかと心の中でつぶやいた。

 30年以上勤め人をしていて「働くということの意味」について初めてきちんと考えてみようと思った、貴重なひと時だった。
 
 

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