2011年3月8日火曜日

経堂に名店あり


  経堂の駅前、商店街から少しはずれ、路地を入ったところに居酒屋「いちふく」がある。
昨年の四月、大事な人の不幸があり、この街を訪れることになったのだけれど、なにげなく入ったこの店が、大当たりだった。
 とにかく何をたのんでも美味い、そして、安い。
駅前の路地にひっそりとたたずむ
 集まってくるのは、ほぼ9割が常連さんだが、正しい居酒屋には正しい酒飲みが集まる。
 とても落ち込んでいたときだったのだが、いちげん客を排除するような雰囲気は全くなく、初めてなのにカウンターの先客の方と「あ、どうも、どうも」という感じで会釈。かといって、店主とも、連れ以外の客とも、無駄な会話をせず一人で、夫婦で、あるいは、仕事仲間と酒と肴を楽しんでいる。
 とても居心地の良い居酒屋。

常連さん・みんな笑顔

 その次に訪れたのも、偶然ではあるが、絵本作家・さわだとしきさんの葬儀がこの街であり、その帰りに寄った。しみじみと静かに酒を飲める店でもあるのだ。
この日は装丁家の代田奨さんとの打ち合わせで。僕以上のこの店のファン、遠く本郷の事務所からやってくるほど

ふきのとうの天ぷら なんと380円
もともと「あさひや」という居酒屋の名店があった場所に、居ぬきで開店したとのこと。「あさひや」は写真家の浅井慎平さんが常連だったと聞く。店内の写真も作品として残されているとのこと。その写真は「いいちこ」の広告に使用されたらしい。今は全く別の店ではあるが、”名居酒屋”の空気は十分残っている気がする。
レバー苦手な僕も、唯一この店のレバ刺しは食べられるのだ(運が良いとメニューに加えられる)
 この日も、ほどよく仕事の話をして、ほどよく飲んで、ほどよくこれからのことを語り合って、ほどよく昔話もして、気持ちよく店を出た。
 代田さんがあまり肴に手を伸ばさないので、料理は僕がほとんど平らげてしまった。この店の〆の定番「焼きそば」は、お土産にしてもらう。
 家に帰ってから妻と食す。妻もその美味しさにびっくり。
 帰り際に、サービスで出していただいた蕗味噌がとても美味しかったので「これで御飯食べたら美味しいだろうなあ」などと口走ったら、「これ持って帰って」と手作りの蕗味噌を1ビンいただいてしまった。ちょっとずうずうしかったかなあ。
 その蕗味噌で、焼きそばだけでなく御飯もちょっとだけ食べた。太るわけだ。

僕が東京の居酒屋で一番美味しいと思っている「やきそば」、帰宅してからチンして食べてもひたすら美味かった。


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