2008年4月27日日曜日

肉離れでびっくりしたこと

 ふくらはぎの肉離れであります。

 帯広~釧路、長野と連日の出張が昨日終了。疲れはまったく感じていなかったのだけれど、やはり加齢のせいか。公園で息子を相手にラグビー・ボールで遊んでいる最中に、やってしまいました。
 軽くランパス、全力疾走で追いかけっこをした後、左足でボールをけった瞬間。軸足の右足ふくらはぎ内側にものすごい衝撃が走る。

 一瞬、野球のボールが勢いよくどこからか飛んできて僕の足に当たったのだと思った。周りを見渡してもボールは転がっていない。ふくらはぎに激痛が広がっていく。痛さで声が出ず、なんとか息子を手招きする。不審げに僕のもとにやってきた息子に「今、お父さんの足にボールかなんかぶつからなかった?」と聞いたが、「何もぶつかってないよ」という。
 「まずい」と思う。立っているのがやっと。子どもの手を借りて何とか家に戻る。愚息はとても心配そうではあるが、「大丈夫?もっと体重かけてもいいよ」と僕に肩を貸しているのがちょっと得意げでもあるみたい。この逆のことはよくあったから。でも、たよりになる息子、ありがとう。

 家に帰りすぐに妻にアイシングをしてもらう。痛みはどんどん広がっていく。ふくらはぎの一部の筋肉に負担がかかると、激痛が走る。
 妻が電話をかけてくれたが、日曜日なので何件かある近所の接骨医はすべて休診。
 スポーツ選手のリハビリでもわりに有名な、近くの関東労災病院の休日診療を受けることに。妻と息子も付き添ってくれた。

 当直の若い医師が僕を診てくれた。
 「私は専門医ではありませんが、骨には異常はないようです。急な手術も必要なさそうです」事務的、必要最低限の診察。「それくらいは自分でもわかります。でも、もう少し患部を触ってくれたりして詳しく、、、」と思ったけれど、ありがとうございました、と鎮痛剤(ロキソニン)と湿布薬を処方してもらう。

 関東労災病院は、歴史的にはかなり古い病院だけれど、昨年リニュアル工事が終了、とても近代的な施設に生まれ変わった。
 昔は暗い外来病棟の廊下の天井をどういう仕組みか、カルテやら処方箋やらが袋に入れられロープウェイのように行き交う不思議な病院であった。
 今では、コンビニやこぎれいなレストランも完備、ちょっとしたホテルのよう。会計のシステムも渡された診察券をATM機のようなものに入れると金額が示され、そこに現金を投入するかカードで支払えばよいという非常に便利なシステムに。

 「一応ロキソニンを出してもらったけど、もし痛みが明日もひどいようだったら専門医に見てもらえって」と妻に報告。
 妻は先刻から、「ああ、それにしても驚いた」と目を丸くしている。息子も「そうだねえ」と答える。僕も「でも、明日は何とか会社にいけそうだよ」と返事をする。
 会計を済ませ、少し離れた場所にある薬局に行ってからも妻は「びっくりしたわぁ、本当にびっくりした」と言い続けている。息子も「僕もびっくりした」と同調する。僕の中で小さな疑いの種が芽生え始める。

 すべての手続きが終了し、正門玄関を後にしたとき病院を振り返り再び「ああ、びっくりしたね」と言う妻の言葉を聞いて、僕の彼女に対する疑惑は確信に変わった。
 「びっくりはしたけれど、大したことなさそうでよかったね」と言いかけた息子の言葉を途中で制して僕は痛みをこらえ真実を明らかにした。
 「そうではないんだ、お前(息子)のびっくりとお母さんのびっくりはびっくりが違うんだ」
 「お前のお母さんは、病院に対してびっくりしているのだよ」
 「え?お父さんのケガに驚いてるんでしょ」
 「いやちがう、○○○(妻の名)は、そんなことより労災病院があまりに美しくなっているもんでびっくり しているに違いない」
 父と母の顔を不安げに交互に見つめる愚息。
 「誰だってびっくりするわよ。こんなに立派にきれいになっちゃってるなんて、ホント、知らなかった。コンビニとかすごくきれいじゃない。見違えちゃった。アー、びっくりしたねー」と愚妻。まだ言ってる。
 「な?」と僕。「へーえ」と息子。

 この瞬間、愚息も人として生きていく意味で大切な現実を学んだことであろう。
 これも良しとしよう。
 筋肉だけでなく、僕の心も少し傷ついたけれど。

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