2008年5月12日月曜日

ケバブ、立ち喰いそば、インド人   kebap

 駅で待ち合わせ。塾帰りの息子と一緒に帰る。

  20時30分、「お腹がすいて死にそう」と愚息。小学生がこの時間に夕食をとっていなければ当然のこと。 「今日、ご飯何かなあ」家路の会話はそればかり。
  メシ食う前にまずビール、となってしまう僕としては、死ぬほどご飯が食べたいという純粋な息子の空腹感が懐かしくもあり、うらやましい。でも、ビールが先。

  商店街を歩いていると,えも言われぬよい香りが僕らの鼻と胃を刺激する。移動トラックで、夜になると店を開く「ケバブ」屋さん。本来は羊の肉のはずだけれど、この店は牛のばら肉をこれでもかと重ねて串に巻きつけ回転させて、電熱器みたいなやつでじわりじわりと遠火に焼く。

  肉汁がぽたぽた落ちるその肉の塊をトルコ人(推定)のお兄さんが長い包丁みたいなやつでガシガシこすげ取り、キャベツと一緒にブリトーみたいに包んでくれる。何度か食べたことがあるけれど、これが本当に美味しい。
  誘惑に負けて、「買っちゃおうか」と僕。「あー、お願い」と息子。夕飯を用意している妻の顔をちらりと思い浮かべながらも、「1個ください」あーあ、言っちゃった。

 たっぷりと肉を切り取ってくれるお兄さん。 息子がよだれをたらしてかぶりつきそうになるのを制する。半分は母親にあげよう、家まで待つのだ。(妻もケバブ大好き)

  袋の上からくんくんにおいをかぎながら「美味しそうだね。でも、秩父宮(ラグビー場)で食べたのは美味しくなかったね」と愚息。

  そうなのだ。去年の秋、息子とトップリーグの試合を観に行った際、スタジアムに日本人による移動ケバブ屋さんが出店していた。それは、僕らにとっては、辛いだけのなんだかよくわからない”ソースだぼだぼ羊肉サンド”であった。

  「ケバブはトルコ独特の食べ物だから、日本人がつくったってなかなか美味しくならない。ここのはトルコの人(推定)がつくっているからこんなに美味しいのだよ」と息子に説明。去年訪れたフランクフルトにもたくさんのトルコ人が住んでいて、たくさんの美味しそうなケバブ屋さんがあったっけ、とつけ加える。

 「そうかー」と妙に納得する息子。
  その国の人が作る料理、といえば、この数年でインド料理の店がわが町にも数件開店し、こちらのほうも、きちんとインドの人(推定)が店長だったりする。

 僕がときどき昼飯を食べに行く代々木駅近くのインドカレー屋も同様。そういえば、昔から「アジャンタ」とかの本格的インド料理レストランのほとんどは厨房にもホールにもインド人(同)が働いていたような気がする。

  と考えたところで、代々木駅の立ち食い蕎麦屋さんにおける出来事を思い出す。つい先日のこと。食券の券売機近くのテーブルで天ぷらそばをたぐっていると、若いインド人(推定、しつこいか)が店にやってきた。カウンターの向こうのオバちゃんに何か言おうとするのだけれど、昼時の忙しいおばちゃんは気づいているのかいないのか相手にしない。

  少しして券売機の存在に気づいたその若者。しかし、券売機には数え切れないほどのメニューやらトッピングの素材やら盛り方などが表示されたボタンが並んでいる。インドの若者は、券売機の前で呆然としている。

 インド人にもソバ好きがいるのか、粋じゃないか、と僕はその若者に声をかける。僕自身、外国を旅して何回もその国のおせっかいなおじさんやおばさんに助けられた経験があるから。

  「わかるか?」と聞くと、哀しそうに首を横に振る。そうか、よし、ここはこの立ち食いソバ好きのおじさんにまかせろ。
  「ソバかうどんか、上に乗せるのは、てんぷらかコロッケか、ナニガホシイノダ」と聞く。

 すると、彼はかぼそく高めの声で、「カレー、えっとカレーライシュ」と答える。

 うーん、なるほど、といえばなるほどだけれど、予期せぬ答えであった。カレーだったらすぐそばにおいしいインド料理屋があるではないか。 

 何年かたって国に帰った彼は、自分の息子に「カレーは、トーキョーの立ち食いソバ屋のものに限るのだよ」なんて話すのかもしれない。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

今晩は。荘村社長の葬儀、日曜に伺う予定です。須藤君も行く予定です。亡くなる前に福祉のカタログ見てもらいたかったですね。まさか池田さんと僕が一緒にやってるなんて夢にもお思いにならなかったかも知れませんが・・・。この週末はお忙しく、家庭サービスもままなりませんね。「ヴァッソ・ニール」おいしかったです。またお連れ下さい。
藤沢 三上

fujisawa mikami さんのコメント...

葬儀、お疲れ様でした。いつもおいしい話のブログありがとうございます。忙しくて更新が止まっていますね。続きを楽しみにしています。

池田正孝 さんのコメント...

三上さん、コメント感謝です。
また、当日はおご参列いただきありがとうございました。

新しい旅立ちです。
ブログも再開、下書きはしていますので、更新再開したいと思います。