『「家庭教育」の隘路 子育てに脅迫される母親たち」勁草書房2100円
読みたい度・8点 購入するだろうな度・7点
「国に頼らず、家庭での教育を見直そう」というスローガンが日本に広く浸透している、という評者の現状分析はともかく、確かに親の意識、あるいは経済状態によって「家庭教育」が2層化していることは実感。家庭、というか家族が子どもに対して行うべき”教育”の本質を考えるのに参考になりそうな本。しかし、日本は子育てが母親に収斂してしまっているという定型的なジェンダー的子育て論になっていなければいいな、と思う。副題を見るとそれがちょっと心配。
「イギリス炭鉱写真絵はがき」京都大学学術出版会 3570円
イギリスでは炭鉱絵はがきというジャンルが立派に存在するらしい。炭鉱労働者が知人に職場の様子を知らせるために使ったという。いつごろの絵はがきが紹介されているのか評には書かれていないが、おそらく19世紀終わりから20世紀初頭のものが中心なのであろう。過酷な労働の実態を隠かのすような、誇り高き表情の鉱夫・そこで働く女・そして幼い子どもたちの姿が納められているのだろうか。アート系の出版社のそれのようにそのまま、ポストカードブック形式で、絵はがきとして使える造本になっていたら購入度も高くなるのだけれども、実物は口絵に数点紹介されているだけらしい。
今月読んだ本。
「わが孫育て」佐藤愛子 文藝春秋
「猛女と呼ばれた淑女 祖母・斎藤輝子の行き方」 新潮社 斎藤由香
佐藤愛子と言ったら遠藤周作・北杜夫。その北杜夫の娘が書いた「ぶっ飛びおばあちゃま」の半生記。週刊新潮に連載を始めた頃に比べるとずいぶんと書きこなれてきた感じ。でもいくつになってもおっとりお嬢様っぽいのは変わらない。その道の先輩、阿川佐和子との対談(『週刊文春』で読んだ)でもまったく物怖じせずマイペース。やっぱり北杜夫の娘というより斎藤茂吉の孫なんですね。日本史の教科書に出てくるおじいちゃんだから。阿川弘之先生は日本史には出てこないもの。
「志ん生長屋ばなし」 立風書房 古今亭志ん生
昨日終了したNHKのテレビ小説「ちりとてちん」を見ている妻が急に「落語は面白い、面白い」と言い出すものだから、「ナニいってやがんでえ、面白え落語てえのは廓ばなしか、江戸の下町を舞台にした長屋ばなしだ、ぅんとうに。ンなことあたぼうだてんだ。でしょ?ご隠居」ということで、その面白さを自分で再確認するためにひさしぶりに引っ張り出した。
今日の水泳
1500メートル 29分24秒。競泳選手のように、ゴーグルの上からキャップをかぶるようにしてからちょっとタイムが早くなった(我々素人はたいていキャップの上からゴーグルをする)。はたして因果関係は?